介護業界での人材不足が話題となっています。2000年に介護保険制度が施行され、毎年介護職員の数は増加しているものの、急激に進む少子高齢化社会に対応しきれていないのが現状です。厚生労働省の試算では、このままでは2025年までに介護職員が38万人不足することが明らかになっています。団塊の世代がすべて75歳以上となる超高齢社会に向けて、介護職員の人材不足は早急に解決しなければならない問題です。
では国を挙げて問題に取り組み、介護職員の求人数も決して少ないのになぜ問題が深刻化するのでしょうか。大きな理由の一つは、先にも述べた急速な少子高齢化によって、そもそも介護職員を目指す生産年齢人口が減っているという状況です。どの業界でも同じ現象は見られ、求人数は多くても実際に人が集まらないという現象が起きています。これによって人材不足で介護施設の運営立ち行かなくなる場合もあります。
また介護業界での人材不足には、介護士に対するネガティブなイメージが先行してしまったことも挙げることができます。「低賃金でキツイ」という現状が大きくクローズアップされ、仕事内容と報酬に不満を抱いて離職していく人が後を絶ちません。また施設内での人間関係に悩まされた人や家族の事情などでやむなく離職する人も少なくありません。
介護職の離職率は16パーセント前後とも言われており、いかに定着率を向上させるかが大きな課題です。厚生労働省は状況の改善に向けて、さらに大胆で積極的な取り組みをしていくことが期待されています。